LOVERSION Music レビュー

第3回入賞者ガラコンサート

コンポーザー・ピアニスト 和田七奈江 編

photo_01
 
第3回入賞者ガラ・コンサート


 この度、第3回となりました、「入賞者ガラコンサート」が、先日の11月19日(月)に催されました。(上の写真が私で失礼します。)まだ3回なのに私としては、もう6回ぐらいやった気分です、、(笑)。思わされることは、第1回、2回、3回、それぞれ、毎度違う趣のコンサートに仕上がっているということでしょうか。このたび第3回目は、以前にも増して非常にレベルの高い、そして深みのあるコンサートだったように思います。先ずは、皆様に深く感謝申し上げます。

 1人目の演奏者は、廣田愛子さん。合格出演者5名の中で唯一の自作自演の奏者です。その人柄も温かく、音楽もやはりマイペースなリズムで淡々としながらも率直で、素朴なメロディーと和音が、とても優しげに聴く者の耳をとらえます。愛子さんは、保育士さんを7年間されていたとのこと。保育園の先生がこんなふうに弾いてくれたら、子供達の尊敬の的に違いありません。幼少期の教育としても、とてもいいと思います。愛子さんには、お子さんのお世話も、ぜひ続けていただきたい次第です。

 2人目の千葉直美さん。桐朋学園大学を卒業された後、東京芸術大学大学院2年生として勉強中です。教養もあり、持ち前のレベルも高く、それだけにご自分の演奏に対して理想も高いので、おそらく本人自身、「120%の演奏が出来た!」と思うに至るにはなかなか難しいのでは…というのが私の憶測です。今、メンデルスゾーンを研究中とのことで、この日もメンデルスゾーンの曲を3つ、演奏下さいました。卒業後もメンデルスゾーンの研究成果を人々に伝えつつ、直美さんなりのピアノ・ライフを継続していただき、その結果、クラシック界が今よりもっと潤うようになれば素敵ですね。心から応援します。

 後半のトップバッターは、林由佳さん。小柄なのに舞台に出ると大きく見えるタイプです。そう、、演奏も誰が聴いてもダイナミック。わかりやすく言えば、ザックリしているというか、難しい大きな曲が好きそうな感じ。オーディションでのアドバイス通りにスクリャービンを弾いてくれましたが、なるほど、、ロマンチックな甘い曲よりも硬派な曲が得意なのでしょうか…。もちろん何でも弾けますが、その上で何か強い個性があるのは演奏者としてのメリットだと思います。選曲を大事にしながら、今後とも演奏に磨きをかけてください。

 次は唯一の男性、川端優也さん。上野学園大学の4年生なので最年少でもあります。優也さんは、自分の演奏にトコトンのめり込むので、思わず聴いているこちらも一緒になってのめり込んでしまう。。だから、「素晴らしい」という以上に「面白かった」という感想が出るのです。「面白い」といのは、一見ありふれた言葉ですが、実は大変に奥深い言葉であるということを、ここで申し上げたいと思います。また、優也さんは男性の割りに小柄で愛される容姿をしているのでは...(?)。その辺がまたピアニストとしての愛嬌を添えているような気がします。12月の半ば、この度弾いたR.シューマンの曲を卒業試験で弾くそうです。まずは、そこを通過して無事に卒業した立派な姿を見せて下さい。

 フィナーレは、、なんとソプラノ。阿部朋子さんです。信頼のおける素敵なピアノ伴奏者・高山幸子さんと出演くださいました。声楽家は、ピアニストにない華やかさがあるものでして、まさにそれを目の前で実感させていただきました。今回は誰もが音楽の授業で習う「浜辺の歌」や「からたちの花」など、懐かしい日本の名歌はもちろんのこと、世界のオペラ名曲「私のお父さん」、そして、最後は「私の宝物」といういい歌も聴かせて下さいました。♪感謝します。素直な心で…♪と、心を込めて丁寧に歌う朋子さんの言葉を聴きながら、たくさんの聴衆が涙をふきました。朋子さんは、ピアノ族の私に知らない世界を見せてくれました。「歌」の良さは、認めざるを得ない気がします。

 感涙のムードの中で最後の最後を弾く私。なんとも言えない気分を抱えながら、最後までちゃんと弾いたつもりです。なにより、私の演奏を期待している人がいるということが励みになります。今後も健康に気をつけて、頑張るしかありません。ちなみに、司会者の予定だった池田卓夫氏は、この度、一身上の都合で欠席でした。彼がいなくても無事に終えることができたというのは、嬉しいことか、寂しいことか・・・。何はともあれ、そろそろ年の瀬が近づいてまりました。12月も楽しくやりたいと思います。では、みなさん、ごきげんよう!