第6回入賞者ガラ・コンサート
音楽ジャーナリスト 池田卓夫編
※写真(右)=池田卓夫、写真(左)=和田七奈江
第6回入賞者ガラ・コンサート(9/June/2014)
(池田卓夫=音楽ジャーナリスト)
(池田卓夫=音楽ジャーナリスト)
渋谷の松濤にあるタカギ・クラヴィーアのサロンでコンポーザー&ピアニスト、和田七奈江が主宰するラヴァージョン東京の第6回入賞者ガラ・コンサートで恒例の司会を務めた。随時開催しているオーディションの審査員と、その合格者によるガラの解説者を引き受け、何年になるだろうか? 未知の才能と出会い、ともに何かを考えたり、つくったりできるきっかけを得られる点で、オーディションは審査員にとっても貴重な情報源である。今回は前半がピアノの平間小百合、後半がピアノの追川礼章を伴ったソプラノの望月彩恵。平間さんはエンジンがかかりきるまでに時間のかかるタイプながら、いざスイッチが入って以降のパッションの爆発には、人の耳を惹きつける何かがある。ショパン2曲のうち本来の持ち味は作品9ー2の夜想曲(ノクターン)と思われるが、「バラード第3番」後半の激しいドラマも聴きものだった。望月は知性派の名メゾソプラノ歌手、青木美稚子の生徒だからか、ソプラノにしては中低音が充実し、ミュージカルとフランス歌曲、オペラアリアそれぞれのスタイルや言語、声量の使い分けもきちんと出来ている。カーライル・フロイドのオペラ「スザンナ」のアリアが実演、しかもサロンコンサートで聴けるとは思ってもみなかった。これも青木先生の勧めで、卒業試験のテーマに選んだ曲という。切々とした思いが優れた英語の発音に乗り、しかと伝わった。トヴォルザークの「ルサルカ」のアリア「月に寄せる歌」の間奏はピアニストにとって難所だが、楽理の学部3年という追川は細かな音の一つ一つをごまかさずに弾き、好感が持てた。